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Tomoya Naka (中 智彌) / Elements
東京のKatsuyuki Taguchiが主宰する『AY』レーベルより、28歳の作曲家“Tomoya Naka”(中智彌)がデビュー・アルバムをリリース!

彼が作曲はもちろん、コンポーズもおこない、東京をベースに訴求性を高めているレーベル『Ricco』からYuki Murata(Anoice,RiLF)がピアノの演奏を担い、そのレーベル・オーナーのTakahiro Kidoがミキシングを担当。

今作はいわゆる、ポスト・クラシカルに属する要素が強くうかがえる。たとえば、ダスティン・オハロラン、Jean-Philippe Collard-Neven、ヤロン・ヘルマンに通じる繊細さと冒険性が現前しており、また、要所には、アンナ・ローズ・カーターさえも思わせる、上品でたおやかな翳りを帯びたピアノ・タッチからはサイレント・フィルムのような、ざらりとした質感とこまやかな息遣いがかすかに遠く聴こえてくる内容になっている。

そして、饒舌なピアノがふと息を止める瞬間のいとまに、ただ、音は故意の響きを惹起せしめる。西洋楽理書をひもとけば、ピアノの丁度、中心にあたる鍵盤から出すことができる、一気圧下での一秒間、四百四十回もの空気を揺らせる音は「A」と呼ばれる。日本では、「イ」。Aからアルファベットが拡がってゆく過程が、このアルバム・タイトルたる“Elements”を示唆する気がする。要素、成分そのものということ、と、曲中の音を構成する体系と記号、それらをしたたかにはぐれる側道までを包摂する意味性。最後には、幽玄にMiho Suzukiのフィメール・ヴォイスも聞こえてくる。曲名は「Requiem」。つまりは、遠い声と、近いピアノをなだめるようなフィーリングを縫いとめた上で、鎮魂のための静謐な祈念のような何かの残映がかすむ。

ポスト・クラシカルという音楽が時おり陥りがちな安易な匿名性の距離を越えてゆくのは、メロディーになりえない無音の差分といえるだろうか。「音が無い」のではなく、そこに「無い音」を置くことで、気が付けば、16曲の時間軸は歴史に垂直に立っている。垂直に立った音の時間軸はいつまでも褪せることなく、軽やかに泳ぐように成分要素表を書き替えてゆくだろう。

この『ELEMENTS』は、聴くたびに思わぬ発見、気付きがある作品であり、自然音やアクシデンタルな雑音、生活音を巻き込みながら成立するように、日常とつながった場所で優しく柔和に、多くの聴取者たる生活者を待っていると願ってやまない。





01: Flamme
02: Berceau
03: L'éclipse lunaire
04: Noctiluca
05: Météore
06: Mer de sable
07: Rainy Song
08: Mariée en juin
09: Bouquet de lumière
10: Berceuse
11: Amour ex machina 
12: Forêt de pierre
13: Polka dot
14: Le chemin du soleil
15: Croissant de lune
16: Requiem

(2013年6月5日発売)
型番 DQC-1076
販売価格 1,905円(税込2,057円)
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