UKはロンドンの名門レーベル『Warp』から2003年にリリースされた、バーミンガムを拠点に1995年に結成されたサイケ・ポップ・バンド“Broadcast”の2ndアルバム！

本作「Haha Sound」では、どこまでも抽象的な実験的サウンドとメロディアスで親しみやすいポップの狭間での綱渡りが、前作に引き続いて繰り広げられる。さらに、どことなく映画的な感覚が、ほかのバンドが手を出しては失敗しているようなタイプのサウンド――アナログ・シンセ、荒々しいフィードバック、スクラッチっぽいエレクトロニカなどなど――の中に溶けこんでいる。このようなサウンドスケープが展開する中、ブロードキャストは、現実逃避的なおとぎ話「Ominous Cloud」から、リズミカルなパルスが押し寄せる「Pendulum」（クラフトワークと、同じくドイツの先鋭集団であるカンを混ぜ合わせたような曲）へと見事な急ターンを決めて見せる。お祭り騒ぎから、鏡に囲まれた大広間でのスタイリッシュなパーティーへと雰囲気を一変させるわけだ。

リスナーに過剰な心地よさを与えまいとするかのような暗い部分も一部あるものの、ブロードキャストの語り口は相変わらずだ。リスナーは異星人の目になり、サウンドという金魚鉢を通して自分たちの世界を見ることになる。そして目にするのは、周囲の見慣れたものがシュールにゆがみ、浮遊しているという光景だ。キーガンの冷ややかなヴォーカルは、クレイジーなケーキにまぶした真っ白な砂糖といったところ。「Haha Sound」は、どこを取っても魅力的だ。無視できないアルバムであることは間違いない。

※国内盤のみボーナス・トラック1曲追加収録。



01: Colour Me In
02: Pendulum
03: Before We Begin
04: Valerie
05: Man Is Not A Bird
06: Minim
07: Lunch Hour Pops
08: Black Umbrellas
09: Ominous Cloud
10: Distorsion
11: Oh How I Miss You
12: The Little Bell
13: Winter Now
14: Hawk
15: Stupido (Bonus Track For Japan)

（2003年8月12日発売）