アメリカはLAのFlying Lotusが主宰するレーベル『Brainfeeder』より、“Daedelus”(デイデラス)ことAlfred Weisberg-Robertsが同レーベルからは2枚目となるニュー・アルバムをリリース!
レーベルからの前作は2009年にリリースされたEP「Righteous Fists of Harmon」 (義和団の乱にインスパイアされた作品)であったが、今回の『The Light Brigade』は1853〜56年のクリミア戦争をテーマにしている。音楽自体は、つい最近のあの地域の紛争よりも前に書かれ、録音されたものだが、実際に起こった政治危機によってアルバムはさらに鎮魂歌のような雰囲気を纏うこととなった。
オープニングの「Until Artillery」では哀愁を帯びた声がAlfred Tennysonによる有名な詩を読み上げる。その後ろでは身を切るようなエレクトロニック音が広がって頂点に達し、アルバムを特徴づけるとなるシンプルなメロディとの対比を描き出す。リード・シングルの「Onward」は耳に残る哀歌であり、折り重なっていくメランコリーなヴォーカルは、以前もコラボレーションをしたYoung Dadによるものだ。ピアノの音色を背景とし、その深みのある音が悲しみに満ちたノイズのバラードを奏でていく。「Shot and Shell」は指弾きによるギターコードが展開していき、温かみのあるシンセの音に絡まっていく。ラストを飾る「Country of Conquest」はShostakovich (ドミートリイ・ショスタコーヴィッチ:世界的な交響曲のソビエト人大家)を思わせるような、ストリングスによる悲しくも美しい楽曲だ。
『The Light Brigade』は、音の中で光と闇、穏やかさと激しさ、美しさと恐怖が交錯している。死に対しての深い瞑想の中、戦争の影は今もそこに残っている。
01: Until Artillery
02: Baba Yaga
03: Onward
04: The Victory of the Echo Over the Voice
05: Sevastopol
06: Tsars and Hussars
07: Battery Smoke
08: Belonging
09: Pre-munitions
10: Shot and Shell
11: Country of Conquest
(2014年10月11日発売)