UKはロンドンの人気レーベル『Warp』より、言わずと知れた天才 Guillermo Scott Herrenによるソロ・プロジェクト“Prefuse 73”の新作がリリース！

今回のニュー・アルバムでギレルモ・スコット・ヘレンは、彼が生み出す計算されたカオスの世界を更に追求している。見事なキャストとユニークなレコーディング手法で達成したのは、単純にビートやループを中心に構成されたレコードではなく、現代音楽の代表作となるものに限りなく近い楽曲だった。儚げな女性ヴォーカルが不思議な楽曲の要素と深く交合された本アルバムは、まるで古代からの唄の世界を再現しているかのようだ。

内なる音が形として成り立っていくと同時に、女性的な変化と統一的な存在が明確になっていった。「このレコードは、自分にとっても異質な作品なんだ。すべてのプロセスに女性ヴォーカルが関わり、いつもとは大きく異なる方法でレコーディングされている。」とギレルモは語る。ヴォーカル陣にはゾラ・ジーザス、マイ・ブライテスト・ダイアモンドのシャラ・ウォーデン、そして今は亡きブロードキャストのトリッシュ・キーナンなどの顔ぶれがあり、既に型破りだった音楽のタペストリーにそれぞれ全く異なったスタイルと魂を加えている。“女性的なアルバム”というテーマは、ビジュアル面にも反映され、UK在住の日本人イラストレーター、Yuko Michishitaも作品に関わった。本アルバムを女性の象徴とした事についてギレルモは、「例えるなら、このアルバムには闇と光が同等に合わさっている。音楽を人間と捉えて聴くならその考えが必要なんだ。このアルバムの音楽、サウンド、ヴォーカルとその不明瞭な制作過程がそれを反映している」と語る。

「シークエンスと削除法」のアドバイスを提供した友人で制作共同者でもあるタイヨンダイ・ブラクストンを含む、趣旨を共有するコラボレーター達を起用したユニークなアプローチに加えて、実際の制作法も実に興味深い。
「ほとんどの曲に特別なコンタクトマイクを使ったんだ。通常は中が空洞になっているクラシックやアコースティック楽器のために使うものだけど、今回俺は楽器以外にも使ってるんだ。主にピアノやギター、木管楽器やチェロ、それに加えて、様々な電子楽器を調和させた音にも使っていて、それがアコースティック音を一層映えさせた。最大の注目点は、アコースティック楽器から生まれる振動とサウンドが女性ヴォーカル達の声と協調してゆくところだろうね」

「The Only Sea Chapters」ではただヘレンの音楽的思想の限度を試す実験として留まるものではなく、彼の音楽への愛が手に取るように伝わってくる感情の嗜好も関わっている。「音楽を創るという過程に一番重要な要素は自分の中の常識を覆したまま、音楽と音楽を共有する事について今まで吸収してきた事、そして大事に想う事を失わずにいることだと思う。」



01: The Only Recollection Of Where Life Stopped
02: The Only Valentine's Day Failure
03: The Only Contact She's Willing To Give (feat. Faidherbe)
04: The Only Chamber Resolve
05: The Only Hand To Hold (feat. Shara Worden)
06: The Only Thief To Steal Tonality
07: The Only Trial Of 9000 Suns (feat. Trish Keenan)
08: The Only Way To Find (feat. Nico Turner)
09: The Only Test To Score
10: The Only Boogie Down (feat. Niki Randa)
11: The Only Direction In Concrete (feat. Zola Jesus)
12: The Only Recollection Of How Things Change
13: The Only Guitar To Die Alone (feat. Adron)
14: The Only Serenidad
15: The Only Lillies And Lilacs
16: The Only Lillies And Lilacs Pt. 2 (feat. Faidherbe)
17: The Only Repeat
18: The Only Recycled Intro

（2011年4月25日発売）